長時間の運転や荷物の積み下ろしなど、トラックドライバーの仕事はまさに体が資本。体調不良のまま仕事をしていると、重大な事故を招きかねません。
周囲はもちろん、自分を守るためにも毎日の健康管理に気を配ることは非常に大切です。
そこで今回は、トラックドライバーが体調不良になるとどのような危険があるのかを踏まえ、体調を崩しやすい原因や体調不良を防ぐ方法などについて紹介していきます。
他人事ではない!トラックドライバーに増えている事故
トラックドライバーに限らず、運送業に従事するドライバーの事故は年々増えています。
国土交通省が公表している資料によると、平成17年は64件だった体調不良による事故の報告件数が平成24年には143件、平成26年には220件、平成28年には304件と右肩上がりに増加しているのです。
しかも、そのうち約3割が運転中に意識を失うなどして操作不能になったものであり、物損・人身事故を招いたケースも少なくありません。
大きな車体を操るトラックドライバーの場合、事故を起こしてしまうと特に大きな被害が出る恐れがあるため、体調にはくれぐれも注意したいところです。
関連記事:「トラックドライバーなら知っておくべき!トラック運転手の事故率と事故減少に向けた動き」
どういった危険がある?トラックドライバーの体調不良
体調が悪いのを我慢しながらトラックの運転を続けると、運転への集中力を失ってしまう可能性があります。
熱があるとボーっとして信号や歩行者を見落とし、物損・人身事故を起こしてしまうかもしれません。
腰など体の痛みを抱えたままだと、ふとしたときにハンドルやブレーキの操作を誤ってやはり事故を起こしたり、積み下ろしの際にうっかり荷物を落としたりすることもあるでしょう。
事故の内容によっては、ドライバー自身が損害賠償金を支払ったり、運転免許証を取り消されたりする可能性もあります。
そうなれば、被害者はもちろん自分や家族の人生まで大きく変わってしまうでしょう。
また、体調不良を放置したまま仕事を続けると、事故とは別に自分の命にも危険が及ぶかもしれません。
国土交通省公表の資料によると平成25~29年までの間、運転中に病気が原因で事故を起こした運送業の運転手1201人のうち、死亡した人は合計で224人もいました。
死亡するほど深刻な病気であれば、前兆として何かしらの体調不良が起きていた可能性もあります。
体調不良が起きたときにしっかり病院で診察してもらっていれば、死亡することなく仕事を続けられていたかもしれません。
このように、事故を起こしたり自分の命を失ったりするなど重大な結果を招くことがあるため、体調不良のまま仕事を続けるのは非常に危険なのです。
トラックドライバーが体調を崩しやすい原因
長時間の運転を担うトラックドライバーは、さまざまな原因で体調を崩しやすいため注意が必要です。たとえば、睡眠不足。
長距離トラックのドライバーなどは、昼夜問わず運転することも珍しくありません。
このため睡眠のリズムが乱れてぐっすり眠れなかったり、渋滞に巻き込まれて十分な睡眠時間をとれなかったりする場合もあります。
仮眠をとろうとしても、狭い車内ではリラックスして眠れないこともあるでしょう。
睡眠は疲労回復に欠かせないものであり、不足すると免疫力が下がって風邪を引きやすくなる、集中力が低下するなどさまざまな体調不良を引き起こしやすくなります。
また、長時間座りっぱなしで運転したり重い荷物の積み下ろしを繰り返したりしたときは、腰痛に悩まされることもあります。
たかが腰痛と楽観視しがちですが、悪化すると手術が必要になる場合もあるので早めのケアが必要です。
実は内臓の病気が原因になっているケースもあるので、あまりにも痛みが続くときは注意しなければなりません。
このほか、運転中はなかなかトイレに行けないため飲食を控えた結果、便秘や脱水症状になってしまうドライバーもいます。
長時間同じ姿勢で運転している上に水分不足が加わると、血液がドロドロになって血栓ができやすくなり、エコノミークラス症候群を引き起こす恐れもあります。
手足のしびれやむくみ、息切れや失神などの症状が出たときは、早めに病院を受診しましょう。
仕事中に突然の体調不良!正しい対処法は?
トラックは基本的に一人で運転をするため、仕事中に突然体調不良になると慌ててしまいますよね。
「代わりがいないから何としても自分がやらねば」と責任感から運転を続けがちですが、体調不良のまま運転を続けるのはやめましょう。
判断力が低下したりうまくハンドルやブレーキを操作できなかったりして、逆に重大な事故を起こす危険があるためです。
このため、国土交通省もドライバーに対して体調不良を感じたときは絶対に運転を続けないように呼びかけ、企業にもドライバーが体調不良になったときの対処法を適切に定めておくよう指導しています。
そこで、体調不良を感じたときは迷わずトラックを停車させましょう。
走行車線で急に停車するとほかの車が追突する可能性があるため、できるだけ路肩に停めてください。
停車後に余裕があれば、エンジンを止めたりハザードランプを点灯させたりした上で、会社に連絡しましょう。
運送業であればドライバーが運転できなくなったときの対処法はある程度決めてあり、代わりのドライバーを派遣してくれることも多いです。
会社に事情を話した上で、今後のことを相談しましょう。
激しい痛みやしびれがあるなど、あまりにも体調が悪い場合は会社より先に救急車を呼ぶことも必要です。
とても電話をかける余裕がないときは、クラクションを鳴らしっぱなしにして周囲に異常を伝えるという方法もあります。
周囲はもちろん自分の身を守るためにも、くれぐれも無理はせず「まずは路肩に停める」を徹底しましょう。
いざというときの心強い味方!常備薬を持ち歩こう
どんなに健康に気を配っていても、人間である以上体調が悪くなってしまうことはあります。
しかし、体調不良のせいで会社や取引先に迷惑をかけるのはやはり避けたいところですよね。
そこでおすすめなのが、急な体調不良に備えて常備薬を持ち歩くということです。
頭痛薬や胃腸薬、解熱剤など、薬の中には早く効いて一時的にでも体調不良を軽減してくれるものがあります。
できれば病院で処方された薬を持ち歩くのが一番ですが、病院に行けなかったり手元になかったりする場合はドラッグストアで市販薬を購入しましょう。
薬を飲めばすぐに改善するとは限りませんが、いざというときは頼りになります。
ただし、常備薬の中には眠くなる成分が入ったものもあるため注意が必要です。
体調不良が治まっても、運転中に居眠り運転で事故を起こしてしまっては元も子もありません。
病院で薬を出してもらう場合は医師にドライバーであることを伝え、眠くならない薬をお願いしましょう。
ドラッグストアで購入する場合は、箱の注意書きを見たり店員に確認したりして、眠くならないものを探してくださいね。
関連記事:「ウトウトはドライバーの天敵!眠気防止にできることとは?」
熱が出ると困る!風邪を防ぐには?
体調不良の中でも、特にかかりやすく厄介なのが風邪です。
風邪をひくと高熱によるだるさやくしゃみ、鼻づまりなどで運転に集中できなくなるので困りますよね。
このため、普段から風邪予防には十分に注意したいところです。
風邪のウイルスに負けないよう免疫力を高めるために、まずは毎日十分な睡眠をとって体を休めるようにしましょう。
免疫力のアップには、バランスのよい栄養をとることも大切です。
特にタンパク質やビタミンA・ビタミンC・ビタミンEには、ウイルスの侵入を防ぐ粘膜を強化したり免疫力の低下を防いだりする働きがあるため、積極的に食事に取り入れると良いでしょう。
また、ウイルスが体内に侵入するのを防ぐため、除菌スプレーの使用やこまめな手洗い・うがいを徹底することも大切です。
風邪のウイルスは人どうしの接触や飛沫などから感染することが多いので、できるだけ人混みを避けると安心です。
さらに、体も冷やさないようにしましょう。
体が冷えると、栄養素の吸収や代謝をコントロールする「酵素」の作用が低下して風邪をひきやすくなってしまいます。
血流も悪化して老廃物が排出されにくくなり、自然治癒力が弱まって風邪が長引く原因になることもあるので注意しましょう。
安全運転のために健康管理を徹底しよう
トラックは車体が大きい分、事故を起こしたときの被害も大きくなりやすいです。
もちろん、その危険はドライバー自身にも及ぶため、健康管理には特に注意しなければなりません。
運送会社の中にはドライバーの健康管理に熱心で、体調不良のときは積極的に休ませてくれるところもあります。
体調不良になったときのことも考えて、健康管理がしっかりしている運送会社を探してみるのも良いでしょう。
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