自動車工場に限らず、工場に勤務する人が知っておきたいことのひとつに「トヨタ生産方式」があります。
トヨタ生産方式とは、文字通り、トヨタ自動車が考え出したもので、工場における生産管理システムのことです。
「トヨタ自動車の工場で働くわけではないのに、なぜ知っている必要があるのか」と思うかもしれませんが、実は多くの工場がこの方式を取り入れています。
トヨタ生産方式について理解を深めておくことは、どんな工場で仕事をする場合にも役に立つと言えるのです。
この記事でトヨタ生産方式について説明します。
「トヨタ生産方式」とはどのような方式なのか
トヨタ生産方式は、「顧客が注文した車を、少しでも早く手元に届けるために、最短の時間で効率的に製造すること」を目的に考え出された生産システムです。
簡潔にまとめると、製造ラインのムダを徹底的に省き、合理化をはかりながら商品を生産する手法といえます。
言うまでもありませんが、品質を確保することは大前提です。
発案されてから改善を繰り返し、長い時間をかけて確立されたシステムで、今では世界中で知られるようになりました。
トヨタ生産方式を取り入れている企業、システムについての研究を重ねる企業も数多くあります。
ムダを徹底的に省くことと合理化は、「自働化」「ジャスト・イン・タイム」という2つの基本思想に支えられています。
それぞれについては別に項目を立てて詳しく説明しますが、ここでは「自動化」ではなく「自働化」と書き表すことを押さえておきましょう。
「動」に、人を表すにんべんをつけた「働」という漢字があてて「自働」としています。
これは、トヨタ生産方式で設置する機械は、単に動くだけの機械ではないということを表している言葉です。
トヨタ生産方式における「自働化」とはどういうことなのか
工場では、ひとつの製品を作るための工程を細かく分け、いくつもの機械が稼働しています。
ここではわかりやすく、ふたつの部品を組み合わせてネジ止めするという工程で考えてみましょう。
最初の工程では、ひたすらふたつの部品を組み合わせるという作業をします。
組み合わされた部品は自動的に次の工程に流れ、ネジ止めがされて完成となるわけです。
しかし、この流れが自動的に行われることには、問題があります。
それは、最初の工程で組み合わせに不具合があっても、部品が次の工程に流れてしまうことです。
部品がうまく組み合わされていないと、ネジ止めができません。
誰かが異常に気がついて機械を止めないと、不良品の山が築かれてしまうことになるのです。
この問題点を解決したのが「自働化」です。
自働化では、製品の不良が発生すると、自動的に機械が停止する設計になっています。
設備に不具合があったときも同様です。
不具合を検知した段階で、機械は自動停止します。
また、問題が発生することなく加工が終了した場合、安全に機械が停止することも「自働化」に含まれています。
こうすることで、不良品が量産されてしまうことを防ぐと同時に、機械がムダに動くことを防いでいるのです。
加工終了時、あるいは異常があった際に機械が止まるときは、「アンドン」と呼ばれる異常表示盤に通知が出るようになっています。
そのため、作業者はひとつの機械につきっきりにならずに複数の機械を担当することができます。
異常が発生したときの原因究明や再発防止対策にも取り組みやすく、生産性向上につながるというわけです。
トヨタ生産方式における「ジャスト・イン・タイム」とはどのようなことか
もうひとつの基本思想である「ジャスト・イン・タイム」には、「必要とされるものを、必要とされるときに、必要な数だけ生産する」という意味があります。
この考え方を工場に導入すれば、ムダな時間を割いてムダな部品を製造する必要がなくなるわけです。
機械の稼働は最低限ですみますし、余分な部品の在庫を抱えることもありません。
そうは言っても、自動車の組み立てに限定して考えると、3万ほどの部品を使うことになります。
製造を開始する前に、部品の調達や生産台数に関して、綿密な計画を立てることが重要です。
さらには、綿密な計画のもと、前工程と後工程のやり取りをスムーズにつなぐことも求められます。
それを受け持つのが「かんばん方式」という手法です。
ジャスト・イン・タイムでの生産を実現するために考え出されたもので、かつては「スーパーマーケット方式」と呼ばれていました。
簡単にいうと、前工程をスーパーマーケット、後工程を顧客とする考え方です。
前工程のスーパーマーケットは必要な部品を予測して準備し、後工程の顧客は必要な部品を受け取りに行くという連携です。
これにより、速やかな製造が可能となっています。
トヨタ生産方式のメリットを覚えておこう
トヨタ生産方式は、自動車の生産を、スピーディーに確実にするために生まれました。
部品の過剰生産、それに付随する機械稼働のムダ、人件費のムダなど、徹底してムダを省きながら、きちんとした製品を迅速に顧客に届けることができるシステムなのです。
働く人にとっても、生産状況や流れ、機械の異常が目に見えやすいため、余分な労力を使わずにすむというメリットがあります。
多くの工場で取り入れられている方式ですから、自動車工場で働くのではなくても、工場で働く人は知っておいて損はありません。
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