車の塗装というのはスプレーガンでただ塗料を吹きかけているだけと考えている人は意外に多いのではないでしょうか。
しかし、それだけではあのような美しい色つやを出すことはできません。
たとえできたとしても使っているうちに塗料がはげていってしまうでしょう。
均一でムラがなく、いつまでも剥離しない塗装を実現するには、いくつもの工程を経る必要があるのです。
そこで、車の塗装に興味があるという人のために、その過程を順番に解説していきます。
車のボディをサビから守る!電着塗装
金属は空気に触れていると、次第に酸化してサビを発生させる性質があります。
それは、自動車も同じであり、単に上から塗料を塗っただけでは車体がすぐにサビだらけになってしまうのです。
そのため、サビの発生を防ぐ防サビ塗料が開発され、車に塗られるようになりました。
ただ、防サビ塗料をスプレーで塗っていたのでは時間がかかります。
しかも、ムラや塗料の垂れが発生してしまいがちです。
そこで、1960年代に生み出されたのが電着塗装。
これは自動車のボディを伝導性の高い水性塗料のプールに浸し、直流電流を流すという手法です。
そうすることで、複雑な形状の物質でも短時間で均一厚さに塗装することが可能になります。
しかも、電着塗装は他の方法に比べて塗膜の密着性が高いため、塗装した後はなかなかはげないというメリットもあります。
これが自動車の塗装の第一手順です。
水やホコリの侵入を防ぐ!シーラー塗布
工場における自動車塗装の第2手順として行われるのがシーラー塗布です。
これは、車体に水やホコリが侵入しないように、鉄板のつなぎ目や小さな隙間へシーラーを塗っていく作業です。
ちなみに、シーラーとは下地と塗料を密着させるための下塗り剤の総称であり、密封という意味を持つシールが語源になっています。
車の塗装においては塩化ビニールなどの粘り気のある樹脂が用いられ、それにはサビの発生を防いだり、本塗装の仕上がりをよくしたりという効果が期待できます。
また、隙間を埋めることで防音効果を高めるのもシーラーの役割のひとつです。
この工程は水鉄砲のような形をしたシーラーガンという道具を用いて行うのですが、スピードと正確さが要求されるため、手作業から工場ロボットによる自動化へと移行しつつあります。
3つの工程!本塗装の手順とそれぞれの役割
電着塗装とシーラー塗布が終了すればいよいよ本塗装の作業に入ります。
この作業には中塗り塗装、ベース塗装、クリア塗装という3つの工程が含まれています。
まず、中塗り塗装の役割は上に塗る塗料の吸い込みを防ぎ、仕上がりを均一化させるための下地作りです。
次に、いよいよボディカラーを吹き付けるベース塗装を行います。
これで自動車のボディに発売時と同じ色が付くわけです。
ただ、これだけでは塗装がむき出しで傷つきやすい状態になってしまいます。
そこで、その上からクリア塗装を行い、光沢感を出すとともにボディを守る保護膜を施していくのです。
この一連の工程はベルトコンベア方式になっており、工場ロボットによって作業が行われています。
塗装作業の最終工程!塗装検査とポリッシャーによる研磨
塗装作業の最終手順として行われるのが塗装検査です。
これは一連の工程を終了した後でボディの塗装に問題がないかを確認するためのものです。
この過程だけはロボットで行うというわけにはいかないので人の目で入念にチェックをしていきます。
まず、チェックの際には、ボディのようすがよく見えるように蛍光灯に囲まれた作業室に自動車を配置します。
そのうえで、車体の隅々に光を当てながら塗装にムラがないかを調べていくのです。
もし、ムラを発見した場合はポリッシャーと呼ばれる機械でボディを磨いていきます。
ポリッシャーとは先端のブラシやパッドが円形になっている電動機械です。
それを回転させることによって塗装を均一にし、どこから見ても同じように見える美しいボディに仕上げていくことができます。
この工程が見た目の完成度を決めるため、作業にはより一層の慎重さが求められます。
以上のように、自動車の製造には塗装ひとつだけをとっても多くの手間とさまざまな技術が用いられているのです。
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