自動車のステアリングでは、長らく油圧式のパワーステアリングが主流でした。しかし、エネルギー効率があまり良くないため、エネルギー効率の高い電動パワーステアリングシステム(EPS)がシェアを拡大するようになりました。
EPSは燃費だけでなく、未来のクルマを作るためにも非常に重要な技術です。
現在主流となりつつあるEPSの役割や仕組み、今後の自動車業界の動向とその中におけるEPSの関わりについて解説します。
電動パワーステアリングシステム(EPS)とは今後の自動車制御における重要技術
自動車のタイヤの向きを変え、自動車を制御することを「ステアリング」と言い、その装置がステアリングシステムです。
自動車に乗っていれば、ハンドルを動かして進行方向を変えられるのは当然のことだと考えてしまいますが、自動車の重量は普通車で1トン前後、大型のワゴンやSUVになれば2トンにもなります。
そのような重量を支えているホイールやタイヤの向きを変えることは、人間の腕力ではまず不可能です。
パワーステアリングと呼ばれる装置は、電気や油圧を利用し、ハンドルを動かす人間の小さな力で自動車の方向を制御することを可能にします。
パワーステアリングシステムの中でも、電気をその動力とするものを電動パワーステアリングシステム(EPS)と呼びます。
燃費効率が良く、コンピュータ制御との相性も良いEPSは、今後の自動車技術における重要な技術として注目されています。
油圧式パワーステアリングの仕組みとメリットデメリット
EPSでは電気の力でステアリングを補助しますが、油圧式と言われるパワーステアリングシステムでは、エンジンの力でポンプを動かし、ポンプで作り出した油圧を利用してステアリングを補助します。
この時、ポンプはエンジンが動くことで作動しますので、ハイブリッド車のEVモードやアイドリングストップ車のアイドリングストップ状態では基本的にパワーステアリングが利用できません。
多くの車でエンジンを切った時ハンドルが動かせないのはこの仕組みによります。
また、電気自動車では油圧式は採用できません。
ポンプの駆動にエンジンさえあれば良いため、新たな装置や部品の搭載が少なく済むことや、操舵時の感性が小さくフィーリングが良いというメリットがあります。
一方、走行のための動力以外のエネルギーをエンジンから取り出す必要があるため、エンジンへの負担やエネルギー消費量が大きくなるのがデメリットです。
電動式パワーステアリングの仕組みとメリットデメリット
電動式パワーステアリング(EPS)では、電気の力によってパワーステアリングを実現する仕組みです。
コラムアシスト式、ピニオンアシスト式、ラックアシスト式などの種類があり、採用する方法によって一長一短があります。
電動式パワーステアリングのメリットは燃費効率が良い点です。
モーターが動力源であるため、エンジンの状態とは無関係に必要な時だけパワーステアリングを使えるので、燃費を向上させることが可能になります。
また、車載コンピュータによって車を制御するECUとの相性が良いのもメリットです。
一方で、多くの自動車ではまだエンジンとモーターの両方を搭載しているため、車載の装置・部品が多くなります。
また、油圧式と比較すると現状ではアシスト力が弱いことや、重量の大きな大型車ほど大きなモーターが必要になるのがデメリットです。
ユーザーにとっては重量が大きくなることで税金が高くなるデメリットもあります。
将来、電動パワーステアリングシステムが自動運転車の礎に
燃費向上を目的にEPSは普及が進みましたが、今後のEPSは自動運転車の礎になる技術として期待されています。
EPSの長所のひとつは、コンピュータによる車載装置の制御を行うECUとの相性が良く高度な制御が可能であることです。
この特長を活かし、自動駐車システムやレーンキープアシストシステムなどが既に実用化されています。
さらに高度運転支援システムや自動運転システムも実用化できるよう、自動車メーカーがIT企業や機械メーカーと共に研究を続けている状況です。
コンピュータ制御が高度化すれば、自動車のデザインも大きく変わる可能性があります。
タイヤにそれぞれモーターを搭載し、コンピュータで回転数や方向を制御して走る車も実現可能です。
すると、現在の自動車の駆動系の構造やボディの形状が大きく変わる可能性もあります。
自動車において、EPSのような方向制御のための技術は、動力関係の技術と並び重要な技術です。
EPSの技術革新は、これからの車のあり方そのものを大きく変えるインパクトを持っており、その時は着々と近づいています。
▼他の記事をチェックしたい方はこちら!
自動車部品工場では何をするの?加工や組立などの仕事を紹介!
車作りに関わりたい!自動車組立工の年収はどのくらい?
自動車工場の面接では志望動機の本気度が重要
