建物や施設を犯罪から守るために「防犯設備士」には一定の需要があります。資格試験に合格して防犯設備士を名乗れるようになれば、キャリアアップに大きく役立つでしょう。
ただ、あまり聞きなれない資格であるため、試験の難易度や合格率も気になるところです。
この記事では、防犯設備士の詳細や試験の内容について解説します。
そもそも防犯設備士は何ができる?どのような資格なのか
■民間資格として認定されている
日本防犯設備協会が認定する民間資格のひとつが「防犯設備士」です。
もともとは国家公安委員会認定事業として制定されたものの、1996年からは自主事業として世間から認識されています。
防犯設備士が行う仕事は、建物の防犯設備に関する設計、施工、管理や診断などです。
たとえば、監視カメラを配置するにしても、一般人が感覚的に場所を決めたのであれば侵入者に対して的確な効果を発揮できません。
また、建物自体の設計によっては容易に外部からの侵入を許してしまいます。
個人情報や金品を取り扱う企業、団体にとって建物のセキュリティは重要なテーマです。
■設備を総合的に運用管理
防犯設備士は知識とスキルによって理論的に防犯設備を配置し、総合的に施設を管理していきます。
単に防犯設備を提案して終わりではなく、その効果が最大限に引き出されるよう運用を担います。
個人情報漏えいなどの事件の多発を経て、社会的にセキュリティへの意識が高まったことから防犯設備士は注目されるようになりました。
2021年4月1日の時点で、全国に3万391名の防犯設備士が登録されており、現場で働いています。
防犯設備士はどこで活躍している?具体的な仕事の例
■警備会社や一般企業で活躍
主な防犯設備士の就職ルートとしては、警備会社に入るケースや、一般企業に雇われて仕事をするケースなどが挙げられます。
防犯設備士は特定の施設や建物を犯罪者から守るという点で、警備員の業務と重なる部分が少なくありません。
実際、キャリアアップのために防犯設備士の資格を取得する警備員もいます。
資格があることで建物の防犯設備を継続的に管理するなど、より責任の大きな仕事を任せられやすくなるからです。
また、一般企業の専属で防犯機器を選定したり、設備の運用状況を点検したりといった業務をこなしている人もいます。
■地域の安全にも貢献
そのほか、地域への啓発活動も防犯設備士の仕事です。
そもそも、真の意味での防犯を実現するには警備員や防犯設備士の力だけでは不十分です。
地域全体が安全への意識を高め、危険を察知する能力を身につけなくてはなりません。
防犯設備士は自治体や警察と協力し、地域全体の防犯にも貢献します。
そして、専門家の観点から課題を具体的に示し、改善案を考えます。
防犯設備士の受験資格は?認定試験についてもご紹介
■防犯設備士資格認定試験の受験資格
防犯設備士資格認定試験を
受験するためには、以下の条件を満たす必要があります。
(1)防犯設備士養成講習の修了
養成講習はあらかじめ撮影した講習動画をオンライン配信。
受講可能期間の間は時間、場所の制約なく繰り返し視聴ができます。
(2 )下記の欠格事由に該当しないこと。
禁固以上の罪を犯し、執行が終わってから3年が経過していない人
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない人
暴力団員、暴力団員を辞めてから5年が経過していない人
アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
■資格認定試験について
受験可能期間の間は全国47都道府県全国約300箇所のテストセンターの中から
自由に受験日を予約して実施。
なお、一度予約しても受験日の3日前までなら時間、場所の変更が可能です。
■日程と受講料・受験料
試験は1年で4回予定されています。
費用は「日本防犯設備協会」の会員の場合は
受講料11,000円。受験料が27,500円。
非会員の受講料は33,000円、受験料が11,000円です。
防犯設備士の試験内容は?どのような知識が問われるのか
試験は、テストセンターのPCのマウスで正しい答えを選択する方式です。
試験時間は110分間で、その後アンケートを実施して終了です。試験時間の途中で解答終了とすることも可能です。
<試験問題の科目>
1)防犯の基礎
2)電気の基礎
3)設備機器
侵入警報設備、防犯カメラ設備、出入管理設備、インターホン設備、
不正持ち出し監視設備、防犯グッズ
4)設備設計
5)施工・維持管理
防犯の基礎に関しては、文章の正誤を指摘される内容が大半です。
非常に基本的な部分ながら、難易度は決して低くありません。
配点も少なくないので、つまずくと合否に影響します。
そのほか「電気の基礎」と「設備機器」では防犯設備士として必須の、機械に関する知識を問われます。
防犯設備士の試験は難易度が高い?合格率を解説
■合格基準は、正答率60%以上です。
合格率は、正式には発表されていないもののおよそ70~80%です。
さまざまな資格試験のなかでも易しい部類に分類されるでしょう。
ただ、気が抜けないのは出題範囲が非常に広い点です。
防犯設備士の資格試験は、協会から送られてくるテキスト(本編と資料編)のうち、本編だけが試験範囲です。
内容は複雑でなくてもページ数が膨大で範囲が広いので、十分な勉強時間を確保しなくてはなりません。
■警備員として経験を積むのもよし
さらに、設備や施工の問題になってくると、警備員未経験者ではイメージを浮かべにくいこともあります。
そのため、いきなり防犯設備士を目指すのではなく、まずは警備員として経験を積んでから受験するケースも少なくありません。
警備員として実務を重ねることで、養成講習の内容も頭に入りやすくなるのはメリットです。
記憶力のいい経験者であれば、特別な試験勉強をしなくても養成講習だけで合格することがありえます。
防犯設備士になれば就職活動で有利になるのか?
■専門性のある仕事ができる
結論を言えば、防犯設備士は就職において選択肢が増えます。
すでに警備員として働いている人も、キャリアアップのために取得しておいて損はない資格です。
なぜなら、防犯設備の仕様は時代とともに複雑化しており、専門的な知識が求められているからです。
侵入者のスキルも上がっているので、簡易的なセキュリティシステムでは意味をなしません。
それだけに、専門家を雇ってでも防犯設備を向上させたいと考える経営者は増えてきています。
■さまざまな分野で活躍する道も
警備会社以外でも、防犯設備機器を開発している企業などで防犯設備士の需要があります。
防犯設備士がいれば、自社の製品を具体的にどう運用するかまでクライアントに提案できるからです。
そのほか、有能な防犯設備士には企業、自治体でのセミナー講師の仕事なども舞い込んできます。
当然、依頼が多くなればなるほど収入も増えていくでしょう。
今後も防犯設備士が活躍できる場は増えていく可能性が高いのです。
防犯設備士は警備員の可能性を広げられる資格のひとつ
警備員が上を目指すにあたって、専門的な知識やスキルは必須です。
防犯設備士のような資格があれば、自身の能力を証明できるので責任重大な仕事を任せられる可能性が高まります。
建物のセキュリティ対策に初期段階から関われる防犯設備士は、非常にやりがいのあるポジションです。
将来性も高いだけに、取得する価値のある資格と言えます。
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