運転手として運送業界で働いている人、またはこれから働こうと検討している人にとっても、考えておくべきことは交通事故のリスクです。また、複数台のトラックを所有し業務を行う運送会社にとっても、交通事故が起きてしまうと多大な損害が発生します。
そんなときに利用するのが自動車保険ですが、運送会社のなかには加入していないというケースも珍しくありません。
ここでは、交通事故のリスクがある運送業で、なぜ保険に加入しないのか、その理由を解説します。
自動車保険には加入する義務があるものと任意のものがある
自動車保険には「自賠責保険」と「任意保険」の2種類あります。
自賠責保険は、加入することを国が義務づけていますので、すべての自動車が加入しなければならない保険です。
任意保険は、その名のとおり加入するかどうかは、会社または個人の任意となっています。
しかし「自賠責保険に加入しているから任意保険は必要ない」ということではありません。
自賠責保険は人身事故の相手だけに支払われ、さらに対象となる事故にも制限があり万全な自動車保険とは言えないものです。
任意保険では、相手・自分・同乗者など事故に巻き込まれた人や、事故により被害に遭った車両や物まで補償されます。
義務付けられている自賠責保険では賄えない部分を、任意保険に加入しておくことで賄えるということです。
しかし、任意保険は補償が手厚い一方で保険料も高額となりますので、すべての運送会社が手軽に加入できるとは言えません。
自分が働いている、または働こうとしている運送会社では、どのような保険に加入しているかを確認することも働くうえでは重要になります。
国土交通省の社会保険未加入業者への対策
運送会社では、ドライバーを雇用した場合に健康保険や厚生年金保険、労災保険や雇用保険などの社会保険に加入させる義務があります。
しかし、運送業界では社会保険未加入業者が存在するという問題があります。
なかには、100台以上も車両を所有している中堅の運送会社でさえも、社会保険の一部未加入があるなど重大な社会問題となっています。
国土交通省では、こういった社会保険未加入違反を防ぐため、2009年に問題のある運送会社に対して車両停止の処分を一層強化しています。
内容は、一部未加入の初回違反が「警告」から「車両停止10日車」、再違反が「車両停止20日車」から「車両停止60日車」とされました。
そして、全部未加入では初回違反が「車両停止20日車」から「車両停止30日車」、再違反が「車両停止60日車」から「車両停止90日車」とされています。
こういった重い処分を受けてしまうと、会社の規模によっては倒産しかねない重大なことです。
大手の運送会社は自家保険という特権がある
自動車を利用する業種では必須とも言える任意保険ですが、運送会社によっては加入していないという事実があります。
大手運送会社での未加入理由は、任意保険に保険料を支払うよりも、自社資金で事故処理したほうが安く済むからです。
この自社資金での処理を「自家保険」といいます。
大手で名の通った運送会社では、この自家保険を利用して任意保険には加入しない体制をとっているわけです。
これは、資金力のある大手の運送会社だからこそできる方法と言えます。
運送会社にとって、この自家保険は大きなコストダウンも期待できるという背景があります。
なぜ中小の運送企業は任意保険に入らないのか
中小規模の運送会社では、高額な保険料を支払う資金がないという理由で、任意保険への加入を見送るケースが多くなっています。
しかし、事故を起こしてしまった場合には、大手運送会社のように自家保険を利用できるような資金もありません。
そのため、自賠責保険で補償できない部分は、事故を起こしたトラックのドライバーが個人で賄うということもあります。
運転することが仕事だという性質上、常に交通事故のリスクがあるドライバーは、任意保険に加入していない場合には高額な補償を請求されるケースもあるということです。
運送会社でドライバーとして働くなら、会社の保険加入状況の確認と、事故を起こした場合に自己負担する必要があるのかなども確認することが重要です。
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